植え替えは園芸の中でも楽しい作業のひとつです。根の状態を見たり、子株を外したり、株の成長に合わせて
鉢増ししたり。植物によっては毎年植え替えるものもあり、鉢数が増えてくるとそれなりに大変な作業にも
なります。
車椅子に座ったまま作業する僕は、鉢の大きさに合わせて、膝上のトレイ、テーブル、低めの台を使い分けて
います。作業を始める前に道具を手の届く範囲へまとめておくことも、続けるうえで大事な工夫です。
この記事では、僕が使っている作業場所と道具の配置、準備から片づけまでの流れを紹介します。寸法や配置は
あくまで僕の環境で使っているものです。自分に合う作業場所を考える材料として読んでもらえたらと思います。
植え替えの時期と用土について
僕は春から秋にかけて植え替えをしています。梅雨時と真夏は避けていますが、これは僕が育てている植物と
環境でのやり方です。
鉢数が少ないうちは、市販の培養土や、園芸店オリジナル配合のアガベ向き・塊根植物向きの用土を買って使って
いました。その用土で枯れることはありませんでしたが、育てている環境に合わせた配合も試したくなって
きました。
鉢数が増えると、培養土を買い続ける費用も気になります。僕の場合は自分で配合するほうが安く済んでいます。
あれこれ考えて配合を決める時間も、園芸の楽しみのひとつです。
赤玉土や軽石などは大袋で買うと割安になることがありますが、車椅子から持ち上げるのが大変な場合も
あります。
ネットで買えば運ぶ手間は減るものの、送料がかかることも。
家族と一緒に買いに行き運ぶのを手伝ってもらうのもひとつの方法だと思います。
作業場所は、鉢の大きさで使い分けています
立ったりしゃがんだりして作業できる人に比べて、車椅子に座ったままの僕は、作業する高さを変えにくいです。
そのため、座った姿勢に合う場所を用意しています。
使い分けの目安は次のとおりです。鉢の号数だけでなく植物の高さや棘の位置によっても変わります。
膝上のトレイ:4号くらいまでの小さめの鉢
高さ約70cmのテーブル:3〜4号くらいまで
高さ約58cmにかさ上げしたベンチ:5号以上の大きめの鉢
① 膝の上にトレイを置く
小さな鉢は膝にトレイや調理用のバットを置いて植え替えます。大きすぎないものが使いやすく、別に作業台を
用意しなくても済みます。
ただ、膝の上に鉢やものを置いている間はプッシュアップができません。鉢をのせたままで急に車椅子を動かすと、
鉢が倒れたり、落としやすくなります。
そのため、必要な道具は先に手の届く場所へ置き、植え替え中に移動しなくて済むようにしています。
下を向く姿勢が続くので、長時間になると首や背中が疲れる点もあります。

② 一般的なテーブルを使う
高さ70cmほどの一般的なテーブルも、小さめの鉢を扱う候補になります。僕の感覚では、3〜4号くらいまでが
作業しやすい目安です。折りたたみ式なら、使わないときに片づけられる利点もあります。
一方、大きめの鉢は、テーブルの上に置くと作業位置が高くなりすぎます。鉢の中をのぞき込みにくくなりますし、
用土を入れるケースも深いものだと、土をすくいにくく、こぼしやすくなります。
アガベのように棘が鋭い植物では、鉢だけでなく株の高さにも気を配っています。5号以上の鉢に植物の高さが
加わると、僕の目の高さに棘がくることがあります。
そうした株は膝上や一般的なテーブルでは扱いにくいと感じています。
③ かさ上げしたベンチを使う
大きめの鉢には、テーブルより低い台を使っています。
僕の場合は、以前作った高さ46cm・幅90cm・奥行45cmのベンチがあったので、その上に余っていた材料で作った
台を重ね、作業面の高さを約58cmにしました。
テーブルのように下へ膝を入れる構造ではありません。膝やフットレストが台に当たる手前まで車椅子を近づけて
作業しています。
この高さだと、僕には鉢の中が見やすく、棘も目の高さにきにくいので、大きめの株を扱いやすくなりました。
ただ、膝が入らないぶん少し前かがみになるのが難点です。

道具と汚れ対策
植え替えには、土入れ、はさみ、ソイルスティックなど、一般的な園芸道具を使っています。
用土を扱うと土や砂ぼこりが出るため、特に膝の上で作業すると、ズボンや車椅子、靴が汚れます。
僕が使っているのは、腰に巻き、座った状態で膝下まで隠れる長さのエプロンです。
アウトドア用などの丈夫なものが使いやすいと感じています。
靴も汚れてよいものを履きます。車椅子を屋内外で兼用している場合は、室内に土を持ち込まないための
片づけ方も考えておきたいところです。
まだ使っていませんが、気になっている道具もあります。
植え替え用マット:テーブルに敷いて土を受け止められれば、掃除の手間を減らせそうです。
ブロワ:作業後の掃除に使えるか、購入を検討しています。
どちらも、今のところは使ってみたい道具の候補なので、使用感はこれからです。
準備から片づけまでの流れ
ここでは、小さめの鉢を膝上のトレイで植え替える場合の流れを紹介します。
準備:必要なものを手の届く範囲に置く
目の前に高さ約58cmの台を置き、使うものを並べます。道具や材料は台の上に置き、植え替え自体は膝上の
トレイで行います。
用意するのは、次のものです。
植え替える植物と、鉢増しする場合の次の鉢
用土を入れたケースと土入れ
根や下葉を整理するはさみ
ソイルスティック
用土に混ぜる肥料や薬剤
鉢底に使う中粒の用土などと、マルチング用の化粧砂を入れたケース
足元には、古い用土や、整理した根・葉を入れるバケツを置いておきます。よく使う用土は、利き手側か正面の、
無理なく手が届く位置に置くようにしています。

配置は自分の利き手や手の届く範囲に合わせて変えてみてください
作業の順番
鉢から抜く
トレイの上で植物を鉢から抜き、土をほぐします。
根や下葉を整理する
古い用土と、整理した根・葉を分けてバケツへ移します。
植え付ける
トレイの上で新しい鉢に植え付けます。用土を手の届く位置に置いておくと、無理な姿勢にならずに済みます。
植え替えた鉢をまとめる
終わった鉢はいったん別の場所へ置き、あとでまとめて管理する場所へ移します。
僕は移動にも膝上のトレイを使っていますが、鉢をのせると倒れたり落ちたりしやすくなるため、作業中の移動は
なるべく減らしています。
片づけ
使用済みの用土は、一部を再利用するため袋やバケツに入れて保管しています。処分する場合は、住んでいる地域の
分別・回収方法を確認します。
用土のケースや使った道具、空き鉢もこのときに片づけます。なるべくひとまとめに整理しておくと次の作業を
始めるのが楽になります。
大きな鉢を動かすときのこと
僕にとって一番不便なのは、大株や重い鉢を植え替える場所まで持ち上げることです。
無理をすると危ないので、できることなら家族など手伝ってもらえる人にお願いするのが一番だと思っています。
自分で動かす場合もありますが、重さや大きさに不安がある株は一人で扱わないことも選択肢です。
同じように整えるなら、最初に確認すること
自分に合う作業場所を考えるなら、まず次の4点を見てみるとよいと思います。
手が届く範囲:座った状態で、どこまで楽に手が届くか
作業する鉢の大きさ:小鉢が中心か、大鉢も扱うか。植物の高さや棘の位置も確認する
足元の空間:膝やフットレストが入るか、台へどこまで近づけるか
片づけ方:土や根をどこへ置き、どう片づけるか
台の高さだけでなく、近づける距離と道具の位置まで含めて考えると、使いやすさを確かめやすくなります。
補足:座る場所が変われば、使いやすい高さも変わる
座って作業する場合でも、座る場所や立ち上がれるかどうかによって使いやすい配置は変わると思います。
僕の父は盆栽を楽しんでいます。2年ほど前、植え替え用の棚がほしいと寸法入りの図面を渡してくれました。
高さ35cmの濡れ縁に座った姿勢で使いやすいよう自分で測ってくれたものです。それをもとに、
高さ50cm、縦40cm、横60cmの棚を作りました。今も植え替えしやすいと気に入ってくれています。

座る位置の高さが違えばちょうどよい台の高さも変わります。僕や父の寸法は参考にしながら、自分の座る場所で
一度測ってみてください。
おわりに
作業場所は一度で完成させる必要はありません。道具も、まずは必要最低限のものからでよいと思います。
小さな鉢を膝上のトレイで始めて、鉢数が増えたり、植物が大きくなったりしてから台を考えても遅くありません。
使いながら少しずつ、自分に合う形へ変えていければ十分です。
園芸は長く付き合うものなので、焦らずいきましょう。
水やりで実際に使っている道具や選び方は、「車椅子で水やり 実際に使っている道具と選び方」にまとめています。
植え替えとあわせて、日々の管理を考える参考にしてもらえたら嬉しいです。

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