「欲しい」だけで買わないために、僕が今考えていること
はじめに
園芸を始めてその魅力にはまり出すと、さまざまな植物に興味が湧いてきます。
僕にも、園芸店へ行くたびに植物を購入していた時期がありました。
購入前にある程度は調べていましたが、実際に自分の環境で育ててみると、買う前には分からなかったことがたくさんあります。
特に株数が増えてくると、植物そのものよりも、置き場所や管理時間といった「環境」の問題に悩むよう
になりました。
現在は以前ほど植物を増やしていません。
今ある植物を無理なく管理し、長く園芸を続けるために、購入前に確認している10のことを紹介します。
① 本当にその植物が好きか
現在は、インターネットやSNSでたくさんの植物を見られるようになりました。
園芸店へ行かなくても、ネットショップやオークション、フリマアプリなどで、珍しい植物を手軽に購入できます。
外出に制約のある僕にとって、これは本当にありがたいことです。
一方で、情報が多いからこそ、人気の植物や珍しい植物に目が向きやすくなりました。
安く販売されているのを見て、「とりあえず買ってみよう」と、後先を考えずに購入したこともあります。
園芸店やイベントで、まだ知らないお気に入りの植物と出会うのも、園芸の楽しみの一つです。
ただ、購入する前に、
「本当に自分が好きな植物なのか」
「人気や価格に影響されていないか」
「この先も育て続けたいと思えるか」
を、一度考えるようになりました。
② 最終的にどれくらい大きくなるか
僕は植物を購入するとき、できるだけ小苗を選んでいます。
小苗のほうが価格を抑えやすいことに加えて、小さいうちから育っていく過程を楽しみたいからです。
また、鉢のサイズを必要以上に大きくせず、なるべくコンパクトに育てたいという考えもあります。
ただし、鉢の大きさを抑えて育てるにも限界があります。
アガベは小型種と呼ばれるものでも、成長すると直径30cmを超えることがあります。成長が遅いサボテンも、
長く育てていれば少しずつ大きくなります。
購入時には小さくても、5年後、10年後にはどれくらいの大きさになるのか。
将来の置き場所だけでなく、自分で植え替えや移動ができる重さなのかも考えておく必要があります。
特に車椅子で管理する場合、大きく重くなった鉢や、鋭い棘のある植物を無理に動かすと、けがや転倒などの
事故につながる可能性があります。
詳しく知らない植物を購入するときほど、成長後の姿まで確認するようにしています。
③ 自分の環境で育てられるか
植物を購入する前に、自分の育成環境を理解しておくことも大切です。
僕は家の周りと室内で植物を育てていますが、置ける場所には限りがあります。
日当たりはどれくらいあるのか。
雨ざらしで育てられるのか。
室内管理が必要なのか。
風通しを確保できるのか。
植物によって適した環境は異なります。
暖かい時期は屋外で問題なく育てられても、耐寒性の低い植物は、冬になると室内へ取り込まなければなりません。
室内では育成ライトやサーキュレーターが必要になる場合もあります。
毎日、屋外と室内を出し入れする方法もありますが、車椅子で何鉢も移動させるのは簡単ではありません。
欲しい植物を無理に自分の環境へ合わせるのではなく、自分の環境で育てやすい植物を選ぶ意識が大切だと
感じています。
④ どれくらい管理に手間がかかるか
水やりの頻度は、植物の種類や季節によって大きく異なります。
僕が育てているのは乾燥に強い植物が中心ですが、真夏は小さな鉢ほど乾きやすく、水やりの回数が増えます。
食虫植物など、水切れに注意が必要な植物であれば、毎日の確認が必要になることもあります。
水やり以外にも、次のような管理があります。
- 肥料や活力剤の使用
- 夏の遮光
- 冬の防寒や室内への取り込み
- 植え替え
- 害虫や病気の確認
- 薬剤散布
根の成長が早い植物は、毎年のように植え替えが必要になる場合があります。
比較的ゆっくり育つ植物でも、数年に一度は鉢から抜いて、根の状態を確認したほうがよいと感じています。
一鉢だけなら大きな負担ではありませんが、株数が増えるほど、すべての作業に時間と体力が必要です。
購入前に、その植物の世話を数年間続けられるかまで考えるようにしています。
⑤ 家族や生活動線の安全を守れるか
植物によっては、置き場所に注意が必要です。
アガベの葉先にはトップスパインと呼ばれる鋭い棘があり、葉の縁にも鋸歯が並んでいます。サボテンにも、触れると簡単には抜けない細かな棘や、強く尖った棘を持つ種類があります。
小さな子どもやペットがいる家庭では、特に注意が必要です。
普段歩く場所や子どもが遊ぶ場所、玄関や避難経路の近くには、危険な植物を置かないほうが安全です。
わが家では子どもたちが庭でよく遊ぶため、サッカーボールなどが鉢に当たって倒れることがあります。
遊んでいれば起こり得ることなので、鉢を倒しても叱るのではなく、すぐに教えてもらうようにしています。
子どもは気にして、倒れた鉢をこっそり隠そうとすることがあるためです。
また、植物には毒性を持つものもあります。
例えばユーフォルビアの仲間は、傷がつくと白い樹液を出すものがあります。この樹液は皮膚や目を刺激する可能性があるため、植え替えや剪定の際には注意が必要です。
自分だけが分かっていればよいのではなく、家族が安心して暮らせる置き方まで考える必要があります。
⑥ 病害虫と育成難易度を確認する
植物を育てていると、害虫や病気を完全に避けることは難しいです。
最初のうちは特に問題なく育っていても、予防や観察をしていなければ、ある日急に被害が広がることがあります。
購入した植物を確認せず、そのまま既存の植物棚へ置くと、害虫や病気がほかの株へ広がる可能性もあります。
僕も以前、アガベマイトと呼ばれるダニの被害を広げてしまったことがあります。
薬剤散布や隔離などの処置を行い、何とか被害は落ち着きましたが、完全に駆除できたとは言い切れません。
この経験から、新しく迎えた植物の状態を確認すること、必要に応じて薬剤を使うこと、そして日頃からこまめに観察することの大切さを知りました。
「大きくなった」「きれいに育っている」と眺めるだけでなく、葉の色や形、株元に異常がないかを見ることも
園芸の一部です。
病害虫や蒸れの予防には、風通しも重要です。
強風を当てる必要はありませんが、空気が停滞せず、鉢や株元が長時間湿ったままにならない環境を意識しています。
室内管理では、サーキュレーターなどを使って空気を循環させる方法もあります。
また、植物によっては育成難易度が高いものもあります。
どれだけ気に入った植物でも、自分の環境や管理方法では育てにくいことがあります。
好きな植物を育てることが園芸の基本だと思いますが、準備をしないまま迎えて枯らしてしまうと、園芸そのものが
嫌になるかもしれません。
最初は比較的丈夫で、自分の環境に合う植物の中から、好きなものを選ぶのも一つの方法です。
⑦ 一年を通して置き場所を確保できるか
現在、僕は新しい管理スペースを増やす予定はありません。
単純に場所がないからではなく、これ以上増やすと、園芸が楽しい時間ではなく、植物を維持するための作業になりそうだからです。
毎年後悔するのが、冬の管理です。
暖かい時期はほとんどの植物を屋外で管理していますが、寒くなると、耐寒性の低い植物から順番に室内へ取り込みます。
しかし、毎年すべての鉢が予定していた場所に収まりません。
そのたびに棚を増やしたり、室内の空いている場所を探したりしてきました。
僕には家族がいるため、家の中をすべて自分の趣味に使うことはできません。
子どもの成長によって必要な家具やスペースも変わります。園芸に理解のある妻でも、植物が増えすぎれば
「さすがに多い」と感じるでしょう。
植物を隙間なく並べすぎると、日当たりや風通しも悪くなります。
今の株の大きさではなく、成長後の大きさや、冬の室内スペースまで含めて考える必要があります。
一年を通して自分で管理できる鉢数が、その人に合った適正な数なのだと思います。
⑧ 自然に増える植物であるか
植物は購入した数だけで終わるとは限りません。
アガベやハオルチアなどは、親株の根元から子株が出ることがあります。
僕も、子株を見つけると今でもうれしくなります。園芸を始めた頃は、子株が出るたびに鉢へ植えていました。
実生と呼ばれる、種から植物を育てる方法もあります。
種から育つ過程は面白く、ときには斑入りなど、少し変わった株が出てくる楽しみもあります。
ただし、種をまけば、その分だけ鉢数も増えます。
僕も毎年実生をやりたい気持ちはありますが、管理できる数を考えて抑えるようになりました。
増えた子株を別の用土や環境で育て、成長の違いを比べることもできます。
それでも、すべての株を育て続けることはできません。
知人や友人へ譲ったり、条件が整えばオークションやフリマアプリなどで販売したりする方法もあります。
現在の僕は、植物が自然に増えることも前提にして、購入する数や置き場所を考えています。
⑨ 「今欲しい」だけで買わない
園芸店やイベントでは、購入予定になかった魅力的な植物に出会うことがあります。
それも園芸の楽しみです。
イベント限定の植物や、次に来たときには売れてしまいそうな株を見ると、「今買わないと手に入らない」と感じます。
植物の数が少ないうちは、あまり深く考えず迎えても問題にならないかもしれません。
しかし、株数が増えてからは、その場で決めず、一度落ち着いて考えるようになりました。
置き場所はあるか。
冬も管理できるか。
家族や生活の邪魔にならないか。
この先も育てたいと思えるか。
これらを確認して、それでも欲しいと思えたら購入します。
植物は生き物です。
衝動的に購入して、置き場所に困ったり、興味を失ったりすることは、できるだけ避けたいと考えています。
⑩ 趣味全体と生活のバランスを考える
最後は、僕が一番大切だと考えていることです。
園芸を長く続けるには、自分の生活の中へ無理なく取り入れることが重要です。
没頭できる趣味があることは、幸せなことだと思います。
ただ、僕の場合は家族と過ごす時間を優先しています。
休日をすべて園芸作業に使ってしまうと、家族との外出や、子どもと過ごす時間が減ってしまいます。
園芸だけで生活を満たそうとすると、僕が求めている豊かさとは少し違う方向へ進んでしまいます。
お金とのバランスも必要です。
趣味へとことんお金を使う考え方も否定しません。むしろ、そこまで集中できるのは少しうらやましくもあります。
ただ、僕はなるべく費用を抑えつつ、必要なものにはきちんとお金を使うことが、長く続けるためには大切だと
考えています。
100円ショップやホームセンターで、園芸に使えそうなものを探すのも楽しみの一つです。
最近は、災害への備えという意味でも、家の中に物を増やしすぎないほうがよいと考えるようになりました。
植物も同じです。
植物や鉢が通路へ倒れれば、避難経路をふさぐ可能性があります。
特に車椅子では、少しの障害物でも移動が難しくなるため、普段から通路を確保しておく必要があります。
また、体調が悪い日や、どうしても気が乗らない日もあります。
毎日世話が必要な植物ばかりを集めると、休みたいときにも休めません。
そのため僕は、多少手をかけられない日があっても、すぐには調子を崩さない丈夫な植物を中心に育てています。
アガベなどは、少し厳しめに育てたほうが締まった姿になることもあります。
園芸だけで生活をいっぱいにせず、家族と出かけたり、おいしいものを食べに行ったり、ほかの時間も楽しむ。
その余白があるからこそ、植物と向き合う時間も楽しめるのだと思います。
まとめ
今でも新しい植物を見れば、欲しいと思うことはあります。
ただ現在は、新しい植物を増やすことよりも、今ある植物をきれいに、かっこよく育てることを優先しています。
園芸の楽しみ方は人それぞれです。
たくさんの植物を集めることも、一つの楽しみ方だと思います。
それでも僕にとって園芸は、植物を集めることではなく、生活とのバランスを保ちながら長く楽しむものです。
購入する前に少し立ち止まり、自分の環境や暮らしに合う植物かを考える。
それだけでも、購入後に困ることや、管理が負担になることを減らせると思います。
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