車椅子生活になってから「家でもできる趣味」を探すことが、思っていた以上に難しくなりました。
そんな僕が、ある雑誌で見た珍奇植物「亀甲竜」に心を奪われ、手探りで園芸を始め、
そして大きな失敗も経験します。
これは、亀甲竜との出会いをきっかけに「できないこと」を基準にしていた生活が、
少しずつ変わっていった記録です。
出会いのきっかけ
2018年に地元に戻ってきて生活が落ち着いてきたころ、何か家でできる趣味はないかと探していました。ふと、植物でも育ててみようかなと思いとある本を購入しました。Lightningという雑誌の別冊でビザールプランツを特集した「GREEN LIFE」という雑誌です。今まで見たこともない植物たちの写真に引き込まれていきました。その中に亀甲竜の写真が掲載されていました。
僕は車椅子ユーザーになる前からギリシャリクガメという種類のリクガメを15年ほど育てています。まるでリクガメの甲羅そのもののような亀甲竜に「こんな面白い植物があるんだ……」と、カメ好きな僕は一瞬で心を奪われました。
探し回る日々
早速、亀甲竜を求めて園芸店巡りが始まりました。まずは近場の昔からある園芸店へ。かなり広い園芸店なので期待
していましたが、当時は観葉植物や植栽用の樹木はたくさんあったものの見つけられず。
園芸店によっては販売と育成を兼ねているハウスの地面が土や砂地のところがほとんどで、植物が生い茂って通路も
狭く、車椅子で行くには難しい場所も多かったです。当時はSNSもやっておらず情報も少なかったので、ひたすら
行けそうな園芸店を回っていました。
そんな中、ネットで隣県にホームセンターのように広い園芸店を発見。駐車場も舗装されていて平坦だったので、
車椅子でも行けそうだと早速出かけました。
やっと出会えた亀甲竜
(画像準備中 購入当時の亀甲竜)
店内入り口にはハオルチアやサボテン、ユーフォルビアといきなり初めて見る植物たちに大興奮。パキポディウムなどの塊根植物も豊富で、目移りしてしまいますが、まずは目的の亀甲竜を探します。
そしてついに亀甲竜を見つけました。その日は10月だったので休眠から明けていて、ハート形の葉をつけた蔓が
伸び始めていました。塊根部の直径は10センチに満たないサイズながら、ひび割れが入ってゴツゴツして、写真で見た姿以上に迫力と不思議な存在感。値段を確認するとびっくりするほど高い……。
値段よりも、ちゃんと管理できるかが不安でした。それでも育成方法をできる限り調べ、育てたい気持ちが大きかったので思い切って購入しました。今思えば、一番はまっている植物アガベとの出会いもそのお店でした。
初めての失敗 実生からの再挑戦
念願の亀甲竜を迎えて、試行錯誤しながらの育成が始まりました。根腐れに気をつけながら、冬は毎晩玄関から室内に取り込む生活を続けていました。
3年目に突入し、育成にも慣れてきたころに事件が起きました。大寒波がくる日に限って、室内に取り込むのを忘れてしまったのです。翌日外に出て初めて気がつくという大失態でした。葉が冷害を受けて半透明に。蔓を引っ張ると
塊根部から抜けてしまい、しばらく管理を続けましたがやはり駄目でした。
玄関の外だと外用の車椅子に乗り換える必要があり、面倒に感じてしまうことがありました。ウッドデッキなら
室内から取り込みやすかったのに、と後悔しました。慣れてきたころに気が緩んで失敗する、という経験でした。
(画像準備中 枯らしてしまう2週間前の様子)
枯らしてしまう2週間ほど前の亀甲竜です。
それから2年後、もう一度亀甲竜に挑戦することを決めました。新しく迎える気にはなれなかったので「実生」
といって種から育てる方法を選びました。亀甲竜の種を5粒播種し、そのうち3粒が発芽。現在は2株が元気に
育っています。播種から4年以上が経過しました。
(画像準備中 播種から半年ほどの実生苗)
播種から半年ほど。直径1センチほどのイモでつるっとして可愛いです。
(画像準備中 現在の実生亀甲竜)
大きい方は直径5センチほどになりました。少しずつ割れていく姿を見ながら、あの失敗があったからこそ
今があると感じています。
まとめ
亀甲竜と出会ったことをきっかけに、僕は園芸にどっぷりはまっていきました。気づけば、毎日の生活の中に
「植物の様子を見る時間」が自然と組み込まれるようになっていました。
車椅子生活の中では、何かを始める前に無意識にブレーキを踏んでいる自分がいました。園芸は、その流れを少しだけ変えてくれました。水をやる、変化を観察する。小さな行為ですが、自分の判断で手を入れ、その結果が目に見えて
返ってくる。その積み重ねが、生活のリズムを作り直してくれた感覚があります。
失敗もありました。ただ、あの経験があったからこそ「自分の身体や環境に合った管理の仕方」を考えるように
なりました。今では実生の亀甲竜が元気に育っています。
立派に育てることよりも、続けられる形を探すこと。このブログでは、そんな試行錯誤をこれからも記録して
いくつもりです。
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